「解放新聞」(2022.09.15-3039)
狭山事件再審弁護団は8月29日、東京高裁(第4刑事部、大野勝則・裁判長)に、これまでに提出した新証拠を作成した鑑定人のうち11人を証人尋問するように求めるとともに、万年筆のインクをめぐって裁判所に鑑定を求める「事実取調請求書」を提出した。また、新証拠9点と再審請求補充書を提出した。9月1日には、狭山事件の第51回三者協議が東京高裁でひらかれた。(事実取調請求書提出を受けての西島委員長談話は6㌻に掲載)
事実取調請求書で弁護団が証人尋問を求めたのは、脅迫状の筆跡・識字能力、指紋、足跡、スコップ、血液型、目撃、音声、万年筆、自白、殺害方法、死体処理について鑑定書を作成した科学者、専門家の11人。
それぞれの鑑定は、確定判決(東京高裁、1974年10月31日)があげた有罪証拠に即した新証拠であり、確定判決に合理的疑いが生じているか、再審を開始すべきかどうかを東京高裁が総合的に判断するためには、尋問が不可欠だ。
また、裁判所による鑑定を求めたのは、事件当日に被害者が書いたペン習字の文字と被害者のインク瓶に残ったインクからはクロム元素が検出されているのに、石川さん宅で「発見」された万年筆で書かれた文字にはクロム元素が検出されていないことをめぐるもの。第三者が蛍光X線分析をおこなうことで、弁護団の鑑定(下山第2鑑定)にたいする検察官の批判には意味がなく、下山第2鑑定の結果が正当だと明らかになる。
今回提出した新証拠は、スコップについての元科捜研技官による補充意見書2通(土砂、油脂について)、殺害方法、死体処理についての法医学者の鑑定書2通、下山第2鑑定にかかわる下山鑑定人の意見書など、検察官が提出した意見書の誤りを明らかにした新証拠と、取調べ録音テープ反訳をコンピュータを用いたテキストマイニングで分析した立命館大学教授の新たな鑑定書など9点。第3次再審請求で提出した新証拠は255点になった。
第51回三者協議では、検察官は、事実取調請求書について今後検討して意見書を提出すると回答。また、前回裁判所が検察官に証拠開示の検討を促したスコップ、タオル関係については、まだ検討中とした。8月29日提出の新証拠9点については今後反論をふくめて検討するとした。弁護団は、検察官が7月29日付けで提出した意見書への反論を検討中と示した。
次回の三者協議は11月下旬の予定。
三者協議には弁護団は中北事務局長、青木、竹下、高橋、小野、河村、平岡、小島、山本、近藤の各弁護人が出席。事前の弁護団会議には石川一雄さん、石川早智子さんも出席し、横田弁護人と中央本部の西島委員長がウェブ参加した。
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