pagetop

NEWS & 主張

実効性ある「条例」に 〜吉村知事と政策懇談会
大阪府

「解放新聞」(2022.06.25-3031)

決意を示す吉村知事(5月17日・大阪市)

決意を示す吉村知事(5月17日・大阪市)

 【大阪支局】 大阪府の吉村洋文・知事と府連との政策懇談会が5月17日、大阪市・府庁横の公館でおこなわれた。吉村知事はネット上の誹謗中傷、差別の防止に向けて「理念条例だけでは意味がない。表現の自由があって、国が法改正しないなかでも具体的にどこまでできるのかを有識者会議で問うていきたい」などと強い決意を示した。

 懇談会には大阪府から吉村知事、山口信彦・副知事、橋本正司・教育長らが出席。府連からは赤井隆史・委員長はじめ3役が出席した。

 冒頭、赤井委員長は「4月に大阪府ネット上の誹謗中傷防止条例が制定されたが、宣言的な条例であり、有識者会議で効果ある条例にバージョンアップという論議になっている。決意を聞かせていただきたい」と強調。また、公営住宅の建て替え、地区内施設の統廃合にともなってできた余剰地が市場原理で売却されていることに懸念を示し「地域共生社会の実現というテーマからすれば、地域に根ざした開発をどうしていくのか、総合評価のような形で地域に貢献する仕組みができないのか、知事のリーダーシップを果たしてほしい」と求めた。

 村井康利・書記長が懇談のテーマを提起。①売却や開発にあたって「人権と地域福祉、住民自治の視点」を位置づけるよう各自治体に働きかけてほしい②栃木県の行政書士による戸籍不正取得事件について、さらなる真相究明と不正防止に向けて第三者請求された人全員に通知する「全通知制度」への抜本的改革をアピールしてほしい③誹謗中傷防止条例にもとづき設置される有識者会議で、どんな議論をすすめるのか④「チャレンジテスト」で部落差別につながる問題が出題され、私立高校の入試でも同じ問題が出題された。私立学校における部落問題学習、人権教育の推進方策について基本見解を、などについて回答を求めた。

 おもな回答は、▽公と民のパートナーシップによるまちづくりをすすめるよう働きかける。▽戸籍など不正取得事件で府では296件が取得されていたが、不正が確認されたのは1件だけ。「全通知」型については不正請求の抑止効果は高まるが、8士業の業務に支障がでる可能性もある。登録率の高い市町村のとりくみ事例の周知などを通じて市町村に必要なサポートをおこなっていく。▽専門的な知見を有する学識経験者などで構成する有識者会議を立ちあげ、人権侵害情報の発信防止、被害者支援に関する効果的な対応策を検討していく。▽チャレンジテストの問題については、教育庁内部の人権意識が十分でなかったと考えている。二度と起こらないよう人権意識の向上をはかっていく。私立学校については直接的な権限はないが、あらゆる機会を捉えて情報提供をおこなう。

 吉村知事は、有識者会議を5月中に第1回、夏頃に中間とりまとめ、年度末にには具体的な施策をとりまとめると表明。「実効性あるものをつくりたい。理念条例だけつくっても意味がない。表現の自由があって、国が法改正しないなかでも具体的にどこまでできるのかを有識者会議で問うていきたい」などとのべた。

「解放新聞」購読の申し込み先
解放新聞社 大阪市港区波除4丁目1-37 TEL 06-6581-8516/FAX 06-6581-8517
定 価:1部 8頁 115円/特別号(年1回 12頁 180円)
年ぎめ:1部(月3回発行)4320円(含特別号/送料別)
送 料: 年 1554円(1部購読の場合)