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福田村事件80年で追悼集会ひらく
追悼慰霊碑除幕式も

「解放新聞」(2003.09.29-2138)

 

全国の基金もとに

 香川県三豊郡の被差別部落出身の薬の行商団一行が、関東大震災直後に朝鮮人が大虐殺されていたなか、千葉県葛飾郡福田村(現・野田市)で自警団に日本人と認識されながらも差別排外意識から殺された「福田村事件」から9月6日で80年になった。同日午後、同市内で、追悼慰霊碑の除幕式と80周年記念追悼集会をひらき、それぞれ170人が参加。犠牲者の冥福を祈り、部落差別撤廃をはじめ、あらゆる差別撤廃へ決意を新たにした。
 主催は、事件の真相解明と追悼碑建立運動をすすめてきた「福田村事件を心に刻む会」(千葉)と「千葉福田村事件真相調査会」(香川)とで構成する、それぞれの実行委員会。
 部落解放同盟からは、千葉県連、香川県連をはじめ、片岡中執、和田中執、関東ブロック各都県連の代表らが参加した。
 除幕式は、同市内の円福寺大利根霊園内で黙祷を捧げ、5人の遺族(西方正明さん、藤澤ヨシエさん、藤澤ハルエさん、大前房子さん、大前廣子さん)と除幕式実行委の濱田毅・会長(福田村事件を心に刻む会代表)、高畠郵司・副会長(千葉福田村事件真相調査会会長)とで、全国からの基金で建立した追悼慰霊碑を除幕。炎天下、参列者一人ひとりが献花し、合掌した。

未来の歴史を問う

 除幕式で、遺族を代表してあいさつした西方正明さんは「命を落とした9人の犠牲者、たいへんな苦労をした6人の被害者、15人の冥福をお祈りする。二度とこのようなことが起こってはならない誓いをする追悼でもある」と提起。濱田会長のあいさつにつづき、追悼慰霊碑建立の意味、意義を説明をした実行委事務局の市川正廣さん(福田村事件を心に刻む会事務局長)は「石碑のまえに私たちは何を考え、何をなすべきかを問いつづけたい。80年の過去の歴史を問いつづけることにも、80年先の未来の歴史を問うことにもなるだろう。私たち一人ひとりの生き方考え方が、逆に石碑の方から見られていくのではないだろうか」と語った。

差別の悪相重なり

 追悼集会は、霊園のそばのチサンホテル大利根でひらいた。
 濱田実行委員長は、「事件の真相解明と追悼碑建立の運動を3年前から、つづけ、さまざまな差別問題がこの事件の原因だとはっきりしてきた」と報告。高畠副実行委員長は、事件の背景に、故郷を遠く離れた関東地方にまで仕事にこなければならなかった厳し落差別の実態、朝鮮人を人間あつかいしなかった民族差別の実態、行商人への職業差別などがあり、「さまざまな差別の悪相が重なった事件」と指摘した。
 部落解放同盟からは片岡中執、福島義昭・関ブロ議長、吉川アイ・千葉県連委員長、岡本俊晃・香川県連書記長、田中勝次・野田市協議会議長があいさつした。
 片岡中執は、アジアへの侵略を許さない運動をはじめ、いっそうのたたかい強化への決意を語り、福島議長は「事件を人権教育の重要な素材に」、吉川委員長は「あらゆる差別をなくすためにがんばる。末永く心に刻む」、岡本書記長は「差別は、人の命も奪わせるし、命もとられる。する側、される側、双方とも差別の犠牲者だと事件はあらためて教えている」、田中議長は「こういうことが二度と起きない人権社会をめざし一生懸命がんばりたい」と語った。


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