「すべての外国人学校に大学入学資格と財政措置を求める共同声明」への賛同のお願い
◎呼びかけ
イラクに対する侵略戦争が始まり、日本の政界が迷走している中、文部科学省は3月28日、日本にある外国人学校のうち、インターナショナルスクール16校に限って国立大学の入学資格を認めるという「方針」をいったん凍結し、民族学校を含めて再検討する、と発表しました。しかし、その三日後の3月31日、文科省は撤回したはずの先の「判断基準」(3月6日)を持ち出して、欧米の学校教育評価機関の認定を受けたインターナショナルスクールにのみ税制上の優遇措置を与える、と告示しました。これは、朝鮮学校や韓国学園、中華学校、ブラジル人学校など民族学校を、恣意的に排除する排外主義的差別政策に他なりません。
私たちは4月12日、東京大学駒場キャンパスにおいて「すべての外国人学校に大学入学資格を! 多民族・多文化共生をめざすシンポジウム」を開催しました。私たちは、文科省のこのような姿勢を批判し、各大学で、各地域で「多民族・多文化共生」を求める声を挙げていくこと、そしてこれら「良心の声」をつないで大きな世論をつくっていくことを確認しました。
昨年9月17日の日朝首脳会談以降、日本社会は排外主義の嵐の中にあります。そこにあっては、日本が果たすべき歴史責任も、東アジアにおける平和構築の役割も、後景に退けられています。しかし私たちは、「日本籍」「韓国籍」「朝鮮籍」「中国籍」「ブラジル国籍」……さまざまな国籍とさまざまな民族、さまざまな文化を持つ人びとが「共に生き、共に生かし合う」社会の実現を求めます。
◎お願い
私たちの「共同声明」に、ぜひ賛同をお願いします。個人署名でお願いします。
また、もし可能なら、この「共同声明」を友人・知人に転送して、一人でも多くの方の賛同を得るようにご協力をお願いします。
私たちはこの「共同声明」を多言語に翻訳して人権NGOなど世界の人びとに発信し、5月31日に賛同署名を集約します。そして6月初め、文科省と国会に対して申し入れを行なう予定です。ぜひ皆さんも各学校、各職場、各地域において、さまざまな形で声を挙げていってください。
◎ホームページ
下記のホームページでは、「共同声明」への賛同が行なえます。また、4月12日シンポジウムの記録と関連資料を掲載していくほか、随時、「共同声明」賛同者のお名前とメッセージをアップしていきます。携帯電話でのアクセスもできるようにする予定です。 http://minzoku-gakkou.mongran.com/
◎声明賛同の要領
締め切り:5月31日(土)正午
宛 て 先:mailto:[email protected]
または、Fax:03-3204-9495(NCC=日本キリスト教協議会)
郵送:〒169-0051 東京都新宿区西早稲田2-3-18―52 RAIK
*できるかぎり上記ホームページで賛同するか、メールを使っていただければ幸いです。
*メールの仕分け処理のために、メールの表題は「共同声明賛同」としてください。
*メールに記していただく内容については、個人でご賛同いただく場合と、団体などで集約していただく場合とで異なりますので、下記をご覧ください。なお、集約作業にはたいへんな労力が予想されるために、できれば賛同される方を何人か集約した上で送っていただければ幸いです。
○個人で賛同される場合、下記の事項を記してください。
①お名前:
②肩書き、あるいは所属、あるいは居住する都道府県名:
③メッセージ(もしあれば):
○団体などで集約される場合は、次の要領でお願いします。
①賛同者の「お名前」と「肩書き、あるいは所属、あるいは居住する都道府県名」:
②メッセージ(もしあれば):
すべての外国人学校に大学入学資格と財政措置を求める共同声明
文部科学省は2003年3月6日、次年度から外国人学校(高校段階53校)のうちインターナショナルスクール16校に限って大学入学資格を与えると発表した。ところが3月28日には、この「方針」をいったん凍結し、民族学校を含めて再検討する、と発表した。
文科省が「再検討」を表明せざるをえなかった背景には、短期間のうちに全国各地で、抗議の声を挙げてきたさまざまな「市民」の力がある。とりわけ、「私たちは民族差別の<加担者>になることを拒否します」と表明した国立大学教職員「声明」には、わずか20日間余りで82の大学から1433人が名をつらね、3月11日と28日、文科省に申し入れをおこなった。文科省が実施したパブリック・コメントでは、送られてきた1万3343通のうち1万2779通が「民族学校にも大学入学資格を認めるべきだ」という意見で占められた。このような、さまざまな「市民」の良心の声が、文科省の方針転換を促したのである。
しかし、文科省は3月31日、欧米系のインターナショナルスクールを設置している法人を、免税措置がとられる「特定公益増進法人」に加えると告示した。そこでは、またもや、外国人学校の多数を占める朝鮮学校や韓国学園、中華学校、ブラジル人学校などが恣意的に排除されている。
同日に公布された所得税法・法人税法施行規則の一部改定省令では、「特定公益増進法人」に、「初等教育または中等教育を外国語により施すことを目的として設置された各種学校」を加えるとしながらも、文科省の告示では、その各種学校を「外交」「公用」や「投資・経営」「留学」など在留資格者の子どもを対象とする学校とし、欧米の教育評価機関の認定を受けたインターナショナルスクールのみとしている。すなわち文科省は、3日前に凍結されたはずの大学入学資格に関する「判断基準」を、またもや持ち出したのである。3月6日の「文科省方針」がそうであったように、今回の「文科省告示」もまた、排外主義によるあからさまな差別政策である。
外国人学校に通う子どもたちの多くは、16歳になると無理矢理、外国人登録証を持たされ、高校を卒業する時は大学入学の門戸を閉ざされている――このような不条理な社会に生きていくことを、私たちは子どもたちに強いつづけていいのだろうか。
1.私たちは政府・文科省に対して、高等学校に準じた教育をしているすべての外国人学校の大学受験資格を来年度入学から認めること、免税措置や助成金における差別をなくすこと、すなわち学校教育法第1条に定める「高等学校」と同等の処遇を保障することを求める。
2.私たちは国会に対して、国際人権条約および国際人権機関の勧告に基づく法制度の実現に向けて、ただちに外国人学校関係者の公聴会開催と実態調査を開始することを求める。
2003年6月1日
すべての外国人学校の大学入学資格を求める実行委員会
田中 宏(龍谷大学教員)/佐藤信行(在日韓国人問題研究所)/駒込 武(京都大学教員)/水野直樹(京都大学教員)/……
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